和食にあう白ワインはどんなワイン?
先週、オーストラリアワインに詳しいソムリエの方々が日本からオーストラリアを訪れ、ヴィクトリアとサウスオーストラリアのワイナリー訪問をしました。
その際に、私は通訳としてサウスオーストラリアのワイナリー訪問に同行させてもらいました。
1日目は、アデレードヒルズ、マクラーレンベールを訪ね、2日目はバロッサバレーのワイナリーを訪ねるというものでした。
2日目のバロッサバレーで、日本でも超有名なジェイコブスクリークに訪問したのですが、日本からのお客様は、すっかりVIP扱いで、特別のときしか開けない別宅に招待され、豪華なフルコースランチとすばらしいワインを、ジェイコブスクリークのワインメーカーと一緒に楽しみました。
アデレードに住んでいても、なかなかこのような機会があるわけではないので、本当に日本からいらした優秀なソムリエの方々に感謝です。
そのランチの際に、ちょっとおもしろいことを発見したので、今日はその話をしたいと思います。
ジェイコブスクリークで出た前菜は、小さな小鉢に入った4種類の前菜の盛り合わせでした。
シェフは、日本からのVIPのために、料理のところどころに日本の味を盛り込んでくれました。
前菜は、ソルトアンドペッパー烏賊フリッターと桃のチャツネ添え、ロブスター(地元産ザリガニの一種)の酢の物、タルタルソース添え小さなフィッシュアンドチップス、海老の昆布だし煮でした。
酢の物と昆布出し煮の2品が日本を感じさせる味、そしてソルトアンドペッパーとフィッシュアンドチップスの2品がオーストラリアの味です。
そして、この4種の前菜といっしょにあわせたワインは、リースリングとシャルドネでした。
2種の白が出てきた理由としては、どの料理とどちらのワインのスタイルがあうか、試してみましょうという趣旨からです。
ここでの会話がすごくおもしろかったのですが、オーストラリア人と日本人では、まったく逆の感想だったことです。
オーストラリア人は、さっぱりした和食の2品には、すっきりとした酸味のリースリングをあわせて、こってりした揚げ物類には、こってりしたシャルドネをあわせたいという声が上がっていました。
オーストラリアでワイン教育を受けたからか?、オーストラリア在住歴が長くなってきているからか?、私はオージーの感想に同感でした。
寿司のようなさっぱりした和食には、リースリングなどのすっきりした樽なしの白ワインをあわせたいと思っていたからです。
しかし、日本のソムリエのみなさんは、揚げ物とリースリング、酢の物とシャルドネという感想を持っていたのです。
理由としては、揚げ物を食べた後にさっぱりとしたリースリングを飲むことで、口の中が洗われてスッキリするからというものでした。
まあ、この考え方は、一理あるなと納得しました。
では、酢の物とこってりシャルドネはなぜあうの???っていうのが私の疑問だったのですが、後になって私なりの回答が見つかりました。
今回の酢の物も昆布出し煮も、オーストラリア人シェフがこの日のために特別に用意してくれたもので、どれもとてもおいしかったのですが、日本人の感覚から言うと、ちょっとだけ角のとがった味だったんです。
とてもおいしいのですが、まろやかさに少しだけ欠けていたんです。
和食には、砂糖やみりん、酒などの糖分を加え、コクやまろやかさを加えますよね。
でも、西洋人は、糖分を料理に使うという発想はないのです。
だから、そのぶん食後に甘~いデザートを彼らは食べるんですけどね。
案の定、そのシェフも、糖分を加えるということは、まったく発想がなかったって言っていました。
つまり、結論としては、日本人にとってはちょっと強すぎる角のたった酢の物には、ちょっと糖分を加えたいという願いから、まろやかなシャルドネが合うという感想にいたったのではないかと思うわけです。
この一件を通して、甘みと酸味のバランスはとても大切だなと実感しました。
甘み、酸味、塩味、辛味、苦味、そしてうまみの組み合わせによって、バランスのよさが決まります。
ワインも、食事も、またワインと食事の組み合わせも、バランスの上に成り立っているんですね。
2 件のコメント:
今回の話は非常に面白ですね!
ただ、日本人でもニューワールド系のワインが好きな人は、どちらかというとオーストラリアの人たちと同じ組み合わせになるのではないでしょうか?
それと、和食に白は定番ですね!
できれば、赤をあわせてみたいですね。ぜひ、参考になるような赤ワインがあれば、紹介してください。
和食と赤ですか。なかなか難しいですよね。でも、前回うなぎのようなこってりしたものと赤ワインをあわせたとき、なかなか相性がよかったですよ。寿司のようなあっさりとした和食と赤ワインをあわせるのであれば、ピノノワールのような軽いものとあわせたらよいのではないでしょうか。イタリアのキャンティもいいかもしれません。軽くて酸味が高くて、なかなか和食との相性がいいかもしれないですね。
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