3/24/2007

クリーンスキンワイン


近頃、オーストラリアではClean Skinなるワインをよく目にするようになりました。
クリーンスキンとは、メーカーのラベルやマークなどパッケージやマーケティングコストを削減して、よりリーズナブルなワインを消費者に届けることを目的としたワインのことです。
ワインボトルには、必要最小限の情報(ぶとうの種類、アルコール度数など)のみが
印刷されたシールがぺラっと一枚ついているのみのシンプルなボトルです。
スキン(ボトルの外見)がクリーン(何も無い)だから、「クリーンスキン」と呼ばれるのです。
当然のことながら、使われているブドウは大量生産された安ワイン向けのものがほとんどです。
しかし、近年のオーバーサプライが影響し、本来ならば高級ワインに入るはすのワインがクリーンスキンに入っていると巷ではささやかれています。
オーストラリアワイン業界は、近年ブドウのオーバーサプライに悩まされています。
ダブついているブドウの価格は年々低下していて、廃棄するよりも少しでも利益を上げる対策として生まれたのがクリーンスキンワインなのです。
ほとんどのクリーンスキンは、見た目にはエレガントさはなく、魅力には欠けるのですが、
日常家庭で楽しむのには申し分ない味と香りのワインです。
確実に言えることは、オーストラリアのクリーンスキンワインは、東京のレストランや小洒落た居酒屋で頼む’ハウスワイン’と名乗る安ワインより、はるかに満足度は高い味に出会えるということです。
ソフトドリンク並みの値段なので、輸出することは採算にあわないということ、
また家庭消費用に造られたワインなので、オーストラリア国外に輸出するほどの”オーストラリア”代表になるような商品ではない(というかしたくない…)ということなどが考えられるため、
残念ながら日本でお目にかかることはほとんどないかもしれません…。
でも、たったAU$2-10(200-1000円前後)で、プレミアムクラスのワインに出会えるかもしれないという夢を与えてくれるクリーンスキンの存在は、ワイン界の宝くじのような存在といえるのではないでしょうか。

3/21/2007

Importance of wine's region of origins

今学期で大学院卒業予定の私は、Master of Wine Business集大成ともいうべき
プロジェクトに取り組んでいます。
オーストラリアにおけるワイン産地名の重要性について。
まだまだプロジェクトが始まったばかりで答えは出ていないのですが、
いろいろと気づかされることがたくさんあります。
ワインの本家本元フランスでは、AOC(原産地統制呼称)という制度によって格付けされ、
最高格付けのAOC格付けワインのみが産地名を名乗ることができます。
さらに、ボルドーやブルゴーニュなどの有名産地では、村の名前、畑の名までが
重要になってくるのです。
つまり、フランスワインにとって、産地名はクォリティの証であって、それにともない値段も比例します。
ワイン産地名は非常に重要なものであって、消費者に大きな影響を及ぼすものである
ということがいえます。
しかし、オーストラリアをはじめとしたニューワールド諸国(アメリカ、オーストラリア、チリ、南アフリカなど)では産地名はあくまで産地名でしかなく、フランスの様な格付けは基本的には存在しません。
フランスワインのラベルをまじまじと見たことはありますか?
当然フランス語で書かれているので、解読は難しいことなのですが、
そこにはぶどう品種名などの基本的な製品情報はまったく見つかりません。
ただただ生産地区の名、村の名や畑の名があるのみです。
しかもこの名前、事前に知識が無い限り、たとえフランス語が読めたとしても、地区なのか村なのか畑なのかまったく検討もつきません。
しかもブドウ品種名も書いてない…。
となれば、極端に言えば赤ワインか白ワインかすらわからないという事態に陥りかねません。
消費者に対してなんて冷たい対応なのでしょう…。
この歴史と階級制度の重圧に押さえつけられているフランス方式に対し、
オーストラリアワインなどニューワールドワインは、ブドウ品種名が主体のラベルになります。
ブドウ品種名、ヴィンテージ(生産年)、産地名がラベルに表示され、ワイン初心者にもわかりやすいワインなのです。
消費者思いのやさしい商品ですね。
では、オーストラリアでは産地名や生産地区名は重要ではないのでしょうか?
答えはNo!!!
多くのオーストラリア人ワイン消費者は、産地名から想像できる得意のぶどう品種をステレオタイプ的に記憶している傾向があります。
たとえば、バロッサバレー=シラーズ、クレアバレー=リースリング、アデレードヒルズ=ソーヴィニオンブラン、クーナワラ=カベルネ・ソーヴィニオンなどなど…。
フランスの様な産地名による格付けはないものの、やはり産地名は、オーストラリアでも大きく消費者購買行動に影響しているようだというのが、現時点での私の見解です。
どのようなときに、どのような場面で影響をうけるのか、今後のリサーチ次第でどのような答えが見つかるかが楽しみです。

ワイン批評家の影響度


オージーは"Made in Australia"という言葉が大好きです。
とにかく何から何までオーストラリア産にこだわっていて、オーストラリア産に命を掛けている(?)"Made in Australia"品のみを扱うスーパーマーケットが、
シドニー近郊にオープンしたというニュースが先日TVで紹介されていました。
このスーパーは、オーストラリア企業商品専門店という意味だけではなく、
本当にオーストラリアの大地で作られたものだけが店頭にならぶらしいのです。
たとえば、オーストラリアのメジャーポテトチップスメーカーは、工場が中国にあるため、その時点で"Made in China"になるからアウト!といった具合です。
当然、そんなオージーたちのの選ぶワインは、オーストラリアワイン!
というのは言うまでもありません。
ロバート・パーカー氏Robert M. Parker, Jr.は世界でもっとも影響力のあるワイン批評家といわれているアメリカ人です。
世界のワインマーケットは彼の点数ひとつで動くといっても過言ではありません。
パーカーは、オーストラリアワインマーケットにとっても大きな影響力を及ぼす人物ということには
変わらないのですが、オーストラリアには、パーカー以上に影響力を持つ"Made in Australia"な人物がいるのです。
その人物こそ、 ジェイムズ・ハリデイ氏James Hallidayです。
先日、ワインショップでおもしろい出来事がありました。
その日はめずらしくVIC(ヴィクトリア州)産Heathcote Estateのワインを探していました。
ここの2004年シラーズが、つい最近アメリカのワイン雑誌Wine Spectatorで高い評価受けていたので、2004年モノを探していました。
しかし棚にあるのは2003ばかり…。
きっと2004年は2003年のストックがなくなりしだい出てくるのだろうと思い、後日店に戻ってみるとやはり2003年ばかりが店頭に並んではありませんか…。
確か2003年もアメリカでの評価は決して低いものではなかったし、Wine Spectatorで毎年なかなかの評価を受けているワイナリーなのになぜだろう…。
不思議に思い店員に尋ねたところ、2004年は完売したとの回答が帰ってきたではありませんか。
理由を聞いてみて納得させられました。
Heathcote Estate 2004 Shirazを、ジェイムズ・ハリディ氏が2006年度おすすめ100選に選んだことが理由だというではありませんか。
アメリカ人によって評価されたオーストラリアワインではなく、
オーストラリア人によって評価されたオーストラリアワインになってこそ、
オーストラリア人にとって真の"Made in Australia"ワインということなのかもしれない、
と気づかされた瞬間でした。

3/19/2007

アデレードヒルズ


今日は、昨日紹介したLong View Vineyardのあるアデレードヒルズ地区について紹介したいと思います。
アデレードヒルズは、南オーストラリア州都アデレードから車でわずか20-30分の場所にあり、その手軽さから、
アデレーディアンの多くが一度は訪れたことのあるワイン産地だといわれています。
にもかかわらず、バロッサなどの有名地に比べると知名度の低いため、日本人旅行者にはまだ馴染みの薄い土地かもしれません。
日本の旅行会社の主催するオプショナルツアーにも、
バロッサバレーのワイナリーを巡るツアーはあるようですが、残念ながらアデレードヒルズはないようです…。
全体訪問者数もまだまだ少ないので、週末だけセラードア(テイスティングルーム)をオープンしているワイナリーも少なくありません。
いくつかのワイナリーでは、週末のみランチやブランチを楽しむことができて、有名ワイナリーはかなり早くから予約を入れなければ席が取れないほどの人気ぶりです。
広大なヴィニヤード(ブドウ畑)を見ながらのオープンテラスで楽しむ食事とワインは、普段よりも一味も二味も違います。
ワイナリー併設のレストランは、レベルの高い(?)食事(AU$30-80とかなりお高め…)が楽しめます。
しかし、オープンテラスの屋外での食事は、室内レストランの食事の様な形式ばったよそよそしさはなく、カジュアルな服装、気分で最高級クラスの食事とサービスが楽しめます。
カジュアルな服装で最高級のレストラン、ちょっとしたセレブの休日が味わえます。
個々のワイナリーやレストランについては追って紹介する予定ですが、
アデレードヒルズには、ワイナリー以外にもHahndorfハーンドルフというドイツ村もあって、
ここではドイツの田舎町の町並みが続き、おとぎの国に迷い込んだようなカワイイ店に出会えます。
ジャーマンビアパブでは、本場ドイツビールと本格的ソーセージやシュニッツェルなどが楽しめます。
週末や休日は、アコーディオン弾きのおじさんなども現れ、ドイツ色がさらに高まるので、
週末の訪問がおすすめです。
開放的な空の下でのおいしいワインとビール、アデレードヒルズは酒飲みにとってのパラダイスかもしれません。
Access: アデレード市内よりGlen Osmond Roadを経由しSouth Eastern Freewayで20-30分。

3/18/2007

暑い日の午後に飲みたいワイン

                                                                            アデレードはそろそろ夏が終わろうとしています。
今年の夏もたくさんのワインを飲みましたが、暑い日のランチや午後のLazyな時間にピッタリのワインがソーヴィニオンブラン種のワインです。
アデレード近郊のアデレードヒルズ地区はソーヴィニオンブランが
おいしいと有名な地区です。
アデレードヒルズは、名前のとおり丘の上に位置する比較的冷涼な気候の
地区で、この冷涼な気候がおいしいソーヴィニオンブランを育てるのです。
フランスのソーヴィニオンブランに親しみのある人は、
酸度が高く、草の香りのするワインというイメージがあると思いますが、
オーストラリアのソーヴィニオンブランはちょっと違います。
冷涼とはいえ、フランスにはない強烈な日光を燦々と浴びて育ったブドウから作ったワインは、酸度はやはりとても高いものの、
パッションフルーツやパイナップルなどのトロピカルフルーツの香り豊かな
スタイルになるのです。
グレープフルーツやレモンなどのシトラスの香りも加わって、
キリリッと冷やしたワインは、暑い夏の午後を心地よい時間に変えること
間違いありません。
ソーヴィニオンブランは、オーク樽を使用しない製法(ステンレスタンクで造られます)のため、夏にはちょっと重く感じがちなオーク樽から抽出される              バニラやキャラメルなどの香りは一切ないワインです。純粋に、トロピカルフルーツやシトラスなど
フルーティーな味を楽しみたい時におすすめの一本です。                               
今日の一本:LONG VIEW Whippet Sauvignon Blanc 2006
        Alcohol 13%
Tasting note: パッションフルーツ、グリーンアップル、シトラス。心地よいフルーティーの香りを高い酸味とグラッシーさ(草の香り)がソフトに包み、食事を邪魔しない白ワイン。