4/28/2009

バロッサヴィンテージフェスティバル

4月の中旬の9日間、オーストラリアで一番有名なワイン産地、バロッサのヴィンテージフェスティバルが開かれました。(写真は後日UPします!)
秋だというのに、比較的ポカポカ陽気で、天気もよかったので、ピクニック気分で出かけました。
恒例のヴィンテージフェスティバルロングランチ(11時に始まって19時までの長~いランチ)や、パレード、収穫祭らしく、伝統的な葡萄の足ふみ体験など、さまざまな催し物が、9日間に渡って開かれました。
私は、格式高いYalumbaヤルンバワイナリーに訪れてみました。
「シャトー」と呼ぶにふさわしい、大きな歴史的建造物を中心に、敷地内は大きな庭園が作られていました。
広々とした芝生の中庭は、多くの人がワイン片手にくつろいでもまだスペースがあるほどゆったりとしていて、さらにシークレットガーデン(秘密の花園)までありました。
背の高い植木の塀に囲まれたシークレットガーデンは、一見、入り口はありません。
分厚い植木の壁に遮断されていて、中に何があるのかすらまったく見えないのです。
ではなぜシークレットガーデンを見つけたか。
それは、よーく見ると、子供がやっと通れるくらいの小さな門があって、子供たちがそこから出入りしていたのです。
あまりに小さなドアなので、大人たちは素通りしていましたが、体の小さな私は、子供たちに混じって中に入ってみました。
中は、きちんと整備された、すばらしいイングリッシュガーデンが広がっていました。
シークレットガーデンのあるワイナリーって、なんだか素敵だと思いませんか?
ヤルンバは、大手のワイナリーで、手ごろな値段のワインから、プレミアムワインまで幅広いプライスレンジを用意してあります。
フェスティバルでは、お手ごろな価格なワインのみの販売でしたが、やっぱり青空の下で飲むワインはおいしいですねー。
私はグラスワインでリザーブシラーズを$8で購入しました。
ギュギュと凝縮されたプラムやブルーベリーの果実に、スパイスが加わり、ミディアムフルボディのバランスのよいワインでした。
ワインにあわせる食べ物も、屋台で販売されていたのですが、バロッサの地元料理が多く、なかなか面白かったですよ。
もともと、バロッサは、ドイツ系移民が住み着いた場所ということもあり、ドイツの影響を受けた食材や料理もたくさんありました。
アデレードとバロッサは、車でたった1-1.5時間しか離れていないのに、ずいぶんと異なる食文化を持っているなーっというのが私の印象でした。
伝統的なソーセージ、最高においしい石釜焼きパン、ドイツ風のビーフパイ、チーズなどなど、シンプルだけどおいしいもののオンパレードでした。
しかも、値段がどれも3-6ドル程度と、とてもリーズナブルなのもうれしかったです。
その中で、おもしろいものをひとつ紹介したいと思います。
シラーズの葡萄を使って作ったデザート、「Rote Grutze」(発音的にはロタ グリッザーかな?)です。
これは、バロッサに伝わる伝統的デザートで、もともとは、やはりドイツ発祥のものです。
本場ドイツでは、ベリー類を使って作られるようですが、バロッサに住み着いたドイツ移民が作り出した方法は、ふんだんにあるワイン用の葡萄を使って作る方法です。
バロッサの伝統的には、シラーズまたはマタロ(ムールヴェルド)を使って作られます。
そう、つまりフルボディワイン用のワインでタンニン(渋み)が多い品種が好まれているようです。
ワインを作るように、葡萄を皮付きのままジュースにし、そこにシナモンなどのスパイスを加え、さらにSago(つまりタピオカですね)を加えて煮詰めて作ったゼリー?餅?のようなドローっ、モチーっとしたデザートです。
そこにクリームを添えて食べるのですが、これがなかなかおいしいんですよ。
皮付きの葡萄から作られたジュースで作っているので、ワインのように奥深いジュースの凝縮味が感じられます。
出来合いの葡萄ジュースではこのコクと深みは出ないとのことでした。
ワイン産地ならではのデザートですね。
これは、アデレードでも見つからない、フェスティバル(収穫祭)の時だけに振舞われる、バロッサの伝統的デザートです。
バロッサバレーは、アデレードの一部のような感覚でいましたが、独自の文化が根付いているのだなと気づかされたバロッサ訪問でした。

4/20/2009

レゲエとシラーズ


こんにちは。
先週の金曜日に、野外ミュージックフェスタに行ってきました。
Jason MrazとMissy Higginsのジョイントコンサートで、そのほかにもBob Evansなどのアーティストも加わった野外フェスタでした。
ちなみに、Jason Mrazは「I'm Yours」が世界中でヒットしたサンディエゴ出身の、心地よいレゲエ調の曲を作り出すアーティストです。日本でも、彼の曲はヒットしましたよね。
Missy Higginsは、メルボルン出身のオーストラリア人です。最近は、主にアメリカで活躍中なのですが、久々の凱旋帰国でした。彼女はレゲエではありあせんが、唯一、私が好きなオーストラリア人アーティストです。
公園の芝生の上に作られた特設ステージを前に、ピクニックラグ(敷物?ござ?)とブランケットを持参し、ワイン片手に、リラックスムードの中で音楽を聴くというものでした。

保安上の理由から、液体物の持込は、開封前の透明のペットボトルのみと制限されていたので、食べ物と飲み物は、会場で購入しなければいけませんでした。
どんなものがあるんだろう~?という期待はありつつも、野外フェスタですからね、あまり大きな期待はしてはいけないと自分に言い聞かせました。
食べ物は、ジャンクフードが中心ですが、チップス(フライドポテト)のグレービーソースかけのようなオーストラリアらしいジャンクフードから、オーストラリアには珍しく、ナチョスなどのアメリカンなものや、デザートやエスプレッソバーまで、様々なものが用意されていました。
レゲエといえば、ビーチで、ビール片手に踊っているイメージが強いですが、ここはアデレードです。
レゲエといっしょにあわせる飲み物は、やっぱりシラーズなんです!
ソーヴィニオンブラン(白ワイン)もありましたが、ちょっと冷え込む夜ということもあるからか、シラーズ(赤ワイン)の売れ行きがよいようでした。
私の購入したグラスワインは、フォックスクリークFox Creek レッドバロンRed Baronです。
フォックスクリークは、アデレードから45分ほど南下した、海岸に近いマクラーレンベール地区にある有名ワイナリーです。
このRed Baronは、フォックスクリークのワインの中では、一番お手ごろな価格設定で、オーストラリアでは$14-18で売られています。
日本でも、2600円で売っているところが一軒だけ、Yahooショッピングの中にありました。
レッドバロンは、値段は低価格ながら、オーストラリアの有名ワイン雑誌「ワインステイト」で、5つ星を獲得しており、とてもコストバリューのよい商品です。
ギュギュっと果実味が凝縮していて、ラズベリー、濃厚なブルーベリージャムやミキプルーン(濃縮プルーンエキス)などの香り、シナモンなどのスパイスの香り、そしてほのかにバニラの香りがプラスされた非常にバランスのよいワインです。
私は、フォックスクリークのワインのスタイルが大好きなので、自分の好きなワインが野外フェスタのような場所で買えることに非常に感動しました。
やっぱり、アデレードだなーってすごくうれしくなりましたよ。
どんなにこのワインが大好きでも、やはり、保安上の理由から、ボトルでの購入はできません。
ガラス瓶は凶器になりかねませんからね。
ワイングラスも、当然のことながら、足の低いプラスチックのワイングラスでした。
オーストラリア人はお酒に強いということもありますが、ほとんどの人が車で来ているためか、グラスワイン1-2杯という人が多かったようです。
私が見る限り、ベロベロに酔っ払ったヘベレケな人は一人もいなく、平和なひと時が流れていました。
大好きな音楽と一緒に楽しむ大好きなワイン、最高ですね!

4/06/2009

チョコレートとワインの相性

Happy Easter!

イースター(復活祭)です。
欧米圏では、イースターはクリスマスと同様に、とても大切な休日です。
グッドフライデーから始まって、イースターマンデーまでの4日間、オーストラリアは、イースターを祝うための祝日となります。
絶対に忘れてはいけないイースターのアイテムは、復活の象徴である、「たまご」をかたどったチョコレートでしょう。
イースターが近づくと、店の棚には、カラフルな銀紙でさまざまな大きさのたまご型のチョコレートがあふれます。
欧米圏では、チョコレートなしではイースターは、語れません。
一年の中で、イースターは、チョコレートが一番消費される季節なんですよ。
私も、イースター週間は、チョコレートを口にしない日は一日もありませんでした(笑)。
そんなチョコレートは、よく赤ワインの香りの表現でも使われます。
たまに、チョコレートを食べながら赤ワインを飲むという人がいますが、実はこれは絶対にしてはいけない組み合わせです。
赤ワインを楽しみながら、高級チョコレートをつまむって、イメージ的には、ちょっとおしゃれな感じですが、絶対にNGなんです。
なぜかって?
それは、赤ワインとチョコレートの甘み、酸味、渋み(苦味)がぶつかり合って、お互いのよさを損ねてしまうからなんです。
チョコレートは、甘いですよね。
カカオ豆には、独特の酸味も含まれています。
さらに、ダークチョコレートだとわかりやすいと思いますが、苦味もあります。
その、甘み、酸味、苦味がワインの甘み(フルーツ味)、酸味、渋みとけんかしちゃうんですよ。
私の感覚だと、チョコレートの甘みでワインのフルーツ味が消されて、酸味と渋みがとがったワインになるという感覚です。
なぜ知っているかって?
試したことがあるからです(笑)。
チョコレートは、食後にワインを飲み終わった後に、薫り高いおいしいコーヒーといっしょに楽しんだほうがよさそうですね。

4/04/2009

秋はシャルドネが恋しい季節


私の働くアデレード空港のワイン屋には、バーコーナーもあり、グラスワインやグラスビールとチーズプレートなどが楽しめるようになっています。
グラスワインは、季節ごとに入れ替わるようにしていて、常時スパークリング1種、ロゼ1種、白3種、赤3種が用意されています。
夏の間は、当然のことながら、赤よりも、スパークリングや白、ロゼワインがよく出ました。
でも、赤ワインも出ないわけではないんですよ。
空港は、年中一定気温、23.6度です。
47度の記録的猛暑の日でも、実は赤ワインを頼む人いたんですよー。
彼らは、アメリカ人旅行客で、アデレード近郊のワイナリーに観光に来たそうです。
アメリカに戻る前に、最後にオーストラリアの素晴らしい赤ワインを堪能したいということで、赤ワインを頼んだとのことでした。
グラスで売っていると、人気の品種、あまり人気のないものがはっきりと出てきます。
白ワインは、ソーヴィニオンブラン、リースリング、シャルドネの3種があるのですが、夏の間の人気白ワインは、ダントツでソーヴィニオンブランでした。
特に、女性のお客様からのオーダーが多いです。
わかりやすいパッションフルーツのおいしそうな香りが、女性に大人気です。
男性は、赤ワインを頼まれる方が多いのですが、夏の間は、リースリングやロゼなどのさわやかなものを頼んでましたね。
白ワインの王様のシャルドネはというと、さっぱり人気がありませんでした。
これは、うちの店に限ったことではなく、オーストラリアマーケット全体に言えることなのですが、ここ数年、シャルドネ離れが進んでいます。
樽の香りが美しく、バニラやキャラメルのような香りが、シトラスのようなさわやかさにプラスされた、コクのあるワインというのがシャルドネの特徴ですが、このこってり系の味が、あまり受けなくなってきたようです。
樽を使わないタイプのシャルドネも作られていますが、やはり人気はイマイチですね。
ところがところが、最近、このシャルドネが人気の兆しを見せています。
オーストラリアは、秋の訪れを感じる季節となってきました。
3月後半になって、急にシャルドネの注文が増えたんですよ。
なぜか、男性のお客様からの注文が多かったです。
涼しい気候になり、こってりしたワインが恋しくなってきたのでしょうか。
アデレードは、今日で長かったサマータイムが終わり、明日からは本格的に秋冬シーズンに突入します。
そろそろ、グラスワインリストも秋冬バージョンに変わります。
この冬は、どんなワインが人気があるのか、楽しみです。

4/01/2009

和食にあう白ワインはどんなワイン?

先週、オーストラリアワインに詳しいソムリエの方々が日本からオーストラリアを訪れ、ヴィクトリアとサウスオーストラリアのワイナリー訪問をしました。
その際に、私は通訳としてサウスオーストラリアのワイナリー訪問に同行させてもらいました。
1日目は、アデレードヒルズ、マクラーレンベールを訪ね、2日目はバロッサバレーのワイナリーを訪ねるというものでした。
2日目のバロッサバレーで、日本でも超有名なジェイコブスクリークに訪問したのですが、日本からのお客様は、すっかりVIP扱いで、特別のときしか開けない別宅に招待され、豪華なフルコースランチとすばらしいワインを、ジェイコブスクリークのワインメーカーと一緒に楽しみました。
アデレードに住んでいても、なかなかこのような機会があるわけではないので、本当に日本からいらした優秀なソムリエの方々に感謝です。
そのランチの際に、ちょっとおもしろいことを発見したので、今日はその話をしたいと思います。
ジェイコブスクリークで出た前菜は、小さな小鉢に入った4種類の前菜の盛り合わせでした。
シェフは、日本からのVIPのために、料理のところどころに日本の味を盛り込んでくれました。
前菜は、ソルトアンドペッパー烏賊フリッターと桃のチャツネ添え、ロブスター(地元産ザリガニの一種)の酢の物、タルタルソース添え小さなフィッシュアンドチップス、海老の昆布だし煮でした。
酢の物と昆布出し煮の2品が日本を感じさせる味、そしてソルトアンドペッパーとフィッシュアンドチップスの2品がオーストラリアの味です。
そして、この4種の前菜といっしょにあわせたワインは、リースリングとシャルドネでした。
2種の白が出てきた理由としては、どの料理とどちらのワインのスタイルがあうか、試してみましょうという趣旨からです。
ここでの会話がすごくおもしろかったのですが、オーストラリア人と日本人では、まったく逆の感想だったことです。
オーストラリア人は、さっぱりした和食の2品には、すっきりとした酸味のリースリングをあわせて、こってりした揚げ物類には、こってりしたシャルドネをあわせたいという声が上がっていました。
オーストラリアでワイン教育を受けたからか?、オーストラリア在住歴が長くなってきているからか?、私はオージーの感想に同感でした。
寿司のようなさっぱりした和食には、リースリングなどのすっきりした樽なしの白ワインをあわせたいと思っていたからです。
しかし、日本のソムリエのみなさんは、揚げ物とリースリング、酢の物とシャルドネという感想を持っていたのです。
理由としては、揚げ物を食べた後にさっぱりとしたリースリングを飲むことで、口の中が洗われてスッキリするからというものでした。
まあ、この考え方は、一理あるなと納得しました。
では、酢の物とこってりシャルドネはなぜあうの???っていうのが私の疑問だったのですが、後になって私なりの回答が見つかりました。
今回の酢の物も昆布出し煮も、オーストラリア人シェフがこの日のために特別に用意してくれたもので、どれもとてもおいしかったのですが、日本人の感覚から言うと、ちょっとだけ角のとがった味だったんです。
とてもおいしいのですが、まろやかさに少しだけ欠けていたんです。
和食には、砂糖やみりん、酒などの糖分を加え、コクやまろやかさを加えますよね。
でも、西洋人は、糖分を料理に使うという発想はないのです。
だから、そのぶん食後に甘~いデザートを彼らは食べるんですけどね。
案の定、そのシェフも、糖分を加えるということは、まったく発想がなかったって言っていました。
つまり、結論としては、日本人にとってはちょっと強すぎる角のたった酢の物には、ちょっと糖分を加えたいという願いから、まろやかなシャルドネが合うという感想にいたったのではないかと思うわけです。
この一件を通して、甘みと酸味のバランスはとても大切だなと実感しました。
甘み、酸味、塩味、辛味、苦味、そしてうまみの組み合わせによって、バランスのよさが決まります。
ワインも、食事も、またワインと食事の組み合わせも、バランスの上に成り立っているんですね。